なぜ、子どもをバイリンガルにするためにフィリピンセブ島に移住したか

「子どもをバイリンガルにするために移住」なんて聞いたこともありませんでした。まさか自分が移住するなんて想像したこともありませんでした。しかも、移住先のセブ島にも、フィリピンにも行ったことはありませんでした。

それでも、移住が我が子3人を英語バイリンガルにする唯一の方法だと気づき、多くの反対を説き伏せ、日本の家も車も家具もすべて処分して強行しました。移住したのは2014年。当時、子供は5歳長男、3歳次男、1歳長女でした。夫には会社を辞めてもらい、一緒に移住してもらいました。
結果オーライでしたが、なぜそれほど移住したかったのか、まとめておきたいと思います。

1712play


17年、小学校のミュージカルで。左から3番目が、長男(当時9歳)。他はフィリピン人や韓国人のクラスメイト。同じクラスに日本人はいませんでした。

子どもをバイリンガルにできないことに思い悩む日々

私は2008年、10年、12年に子どもを産み、2014年まで札幌で育てていました。夫は会社員でした。

私には、多くの人には理解してもらえないだろう悩みを抱えていました。それは、どんな風に子育てしても、我が子にネイティブ並みの英語力をつけることはできない現実に対するものでした。これに、とても苦しめられていました。

英語教室に行かせたらどうか、外国人をホームステイで受け入れたらどうかなど、あの手この手を考えても、結局、どれも子どもをバイリンガルにはできないと気づかされる日々で、どんどん落ち込んでいきました。

うちの子と同じくらい幼い子どもを連れて歩いている人を見ると、駆け寄って
「ねぇ、子どもの英語教育どうしてる?バイリンガルにするにはどうしたらいいのかしら…」
と話しかけたい衝動に駆られるほどでした。

一方で、同じく英語教育を真剣に考えている親ごさんがいても、話してみると、英語の成績アップを目指している方ばかりでかみ合わず、落胆しました。

子どもに付けたい英語力

うちの子は、第一子の長男(移住前当時5歳)でさえ、アルファベットも知らないレベルでした。進研ゼミの「英語チャレンジ」をお試しさせましたが、興味を持ちませんでした。

それなのに、私が期待したい英語力は完全なバイリンガルでした

私の期待

  • 英語で聞いたり話したりに全くストレスがない状態
  • 英語で新しい知識を学べる状態
  • 英語で長いスピーチも作文もできる状態
  • 英語で抽象的なことも表現できる状態

ここまでのレベルを求めてしまうのは、

  • 英語ができないと生き残れない
  • 英語を「勉強」してもバイリンガルになれない

と考えるからです。この2点については後述します。

理想と現実のギャップに、私は落ち込み、悩みました。子どもの英語教育については平均的な保護者の方々に比べて、ずっと深刻に心配していました。このテーマを考えると居ても立っても居られないほど不安に駆られました。365日毎日、24時間ずっと、頭の片隅にこの悩みが渦巻いていたのです。

ClassPicture


19年9月。小学2年生の長女のクラス写真。社会見学先の水族館内にあるステージで。一番右の前から2番目が長女。日本人は彼女だけ。

移住を思いついた日のこと

2014年2月、インターネットを使っていた私の目に、ある広告が飛び込んできました。
「セブ島親子英語留学」。

それは、セブ島に親子が数日~数週間滞在して、親と子のそれぞれに適した英語授業を受けられるプログラムのことでした。渡航滞在費を含めても、アメリカやオーストラリア、ヨーロッパに英語留学するのに比べて格安であることがウリとなっています。日本から近いので、気軽にリピートされている家族もいらっしゃるようでした。

お恥ずかしながら私は知識がなく、
「セブ島ってフィリピンなんだ!」
「え、フィリピンって英語が公用語なの!」
「セブの人って英語のレベルが高いんだ!」
と驚いてばかり。

セブが英会話学校の多さで有名なことも、スカイプ英会話の先生のほとんどがセブ島の人であることも知りませんでした。後から知りましたが、進研ゼミの英会話の先生もフィリピンの人たちでした。

でも、私が親子留学に申し込むことはないと確信しました。当時のうちの子の年齢は、5歳と3歳と1歳。3人の子を連れた親子英語留学なんてお金がかかりすぎますし、「幼い子が、短期留学で英語を習得できるはずがない」からです。

幼い子の留学は、異国が実在することを認識し、空気感・見えるもの・聞こえるものすべてに新鮮さを感じ、初めての食べ物を口にし、日本語を話さない人々と触れあう経験ができる良さはあるでしょう。

英語が通じる喜びも経験できるかもしれません。名所を見てまわる旅行に比べ、移動に費やす時間が短く、異国でありながら学校という居場所が与えられるので楽しめる要素も多いでしょう。

とはいえ、子どものバイリンガル化を期待して参加するのは難しいです。小学生以上で、お金と時間があって、リピートできるなら勉強の良い動機付けになりますけれども。

でも、私はなかなかこの広告から離れられず、我が子3人を連れて「セブ島」に留学する姿をぼんやりと思い浮かべていました。

――楽しそうではあるけれど。

――我が子はまだ小学校に入っていないから、日本の学校の勉強が遅れることを心配せずに留学できるけど。

その時、突然『セブ島に移住すればいい』と思いつき、体がカミナリに打たれたようにびくっと硬直しました。

あまりに突拍子のない考えです。マリーアントワネットが「パンが無いなら、お菓子を食べればいい」と言った(といわれている)話がありますが、「留学で効果ないなら、移住すればいい」は、自分ですらひんしゅくに感じるほど荒唐無稽(こうとうむけい)な発想でした。

でも、本当にバカバカしいかしら・・・?

日本語が通じない環境なら、
お友達が外国人なら、
英語で勉強する学校なら、
…我が子は英語をマスターするに違いない。

それから3か月後、私は子どもたちと夫と共に、移住先のセブ島に向かう飛行機に乗っていました。

移住理由①英語ができないと生き残れないから

私が子供に英語力を付けたい理由は、英語ができないと生き残れないという不安があるからです。そのように考える理由は以下の4つに集約できます。

  • 日本の社会負担は増大するから
  • 日本の市場が縮小するから
  • 世界は英語で動いているから
  • 希望を持てない日本の若者の自殺が多発しているから

移住理由②英語を「勉強」してもバイリンガルになれないから

日本でがんばって英語を勉強させても、バイリンガルにはなれないと感じています。私は北海道大学3年生の時、TOEFL得点で選考され、国費でアメリカに1年間交換留学生として渡り、勉強した経験で痛感しました。

TOEFLが良かったのでESL(英語が母語では無い生徒のための英語の授業)は免除され、いきなり経済学のクラスに入れさせられたのですが、先生が「教科書を開きなさい」と言ったことすら聞き取れず、先生の黒板の文字も全く読めず、授業の内容はちんぷんかんぷん。

唯一の日本人で目立つからか「日本ではどうなのか」としょっちゅう質問されましたが、全く答えられません。「次回の授業までに調べてきます」と言って逃げていました。授業が終わった後に、筆談も交えてクラスメイトに、先生の質問を聞き直す始末です。

ここで出会った日本人生徒に、両親は日本人ですがアメリカで生まれ育った男の子がいました。彼は自然に日本語を話しますが、英語の方が強く、アメリカ人たちとは普通に英語で話します。彼は日本語の読み書きを学びたくて日本語授業もとっており、そこでアシスタントティーチャーをしていた私と知り合いました。彼と知り合ったことで私は言語を「勉強」で習得するのは意味がないと感じたのです。

幼い子供を移住でバイリンガルにする理由

  • 英語を「勉強」させる時間は無駄になるから
  • 日本の英語優等生の話す英語は外国人に通じないから
  • 本人の英語のやる気が出てからお金をかけても手遅れだから

1408birthday


移住した14年の8月、この日で4歳の次男(左から4番目)の誕生日ケーキを前に、クラスメイトと。

移住してから

2014年5月にセブに移住して良かったことは、我が子のバイリンガル教育に対する不安が全くなくなったことです。

親も友達も多い日本にいながら、子どもをバイリンガルに育てられるのが一番いいのかもしれません。でも、今の日本ではそれは難しい。また、外国人のお友達を多く作ることや、日本以外の文化の存在を感じるなら移住しかないのかもしれません。

移住して2年後に、拙著「あなたのお子さんやお孫さんは英語が話せなくて将来就職できますか? 」を出版しました。

また、希望する日本人の子供が格差なくバイリンガルになれるように、署名活動「英語で教育する公立学校を設置してください。子どもたちを将来、英語で苦労させたくありません。」を続け、1千人弱の方から賛同署名をいただいています。

このブログでお役に立てれば幸いです。