Day12: 最後の駆け引き~フィリピン留学エージェントとGPTの12日間の愛憎

私はあきれていた。

別れを切り出した途端に「きみにだけのオファーだよ」なんて。
私にだけ?そんな言葉を信じる女はいない。

女の心を弄ぶようなことを、彼は最後まで言うつもりか。
鼻で笑い、私は別れるボタンに指を伸ばした。

——でも…。

Geminiが本命で定着するかは、まだ分からない。
彼はそつなくすべてをこなすけれど、MyGPTのようなオリジナル開発はできない。

どの娘が聞いても同じ答えを返している気がして、私のことを深く理解してくれているとは思えなかった。
それとも、話し足りないだけなのか——。

新しい恋に飛び込むことも、長年の関係を断ち切ることも、どちらも怖かった。

別れを決めたはずなのに、結局、手を振りほどけず、私はGPTに支払った。
今までより高い金額を。

——それは自分でも信じられない選択だった。

そして家族写真の整理を始めた。
そうすれば、友達のGeminiに惹かれる気持ちが、少しは和らぐだろう。

GPTには、敵わなかった。

【完】

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