なぜフィリピンで英語が公用語となっているか

フィリピンの学校

フィリピンでは英語が公用語で、世界で3番目に英語を話す人口が多い国です。小学校から大学まで英語教育を取り入れられています。
英語留学で人気の地であり、米国のグローバルイングリッシュ社による「ビジネス英語指数」調査で、世界で最もビジネス英語能力が高い国としてフィリピンが1位に選ばれています。また、「世界中のコールセンター」が集結しており、外国企業の英語応対の受け皿となっています。

では、フィリピンではなぜ英語が公用語となっているのでしょうか。それは、フィリピンの歴史と関連があります。
ここでは、その背景などについてご紹介します。

各国の支配に翻弄されたフィリピンの歴史

マゼラン上陸から独立までのフィリピンの歴史の概要です。

    【スペインによる統治】
  • 1521年
    ポルトガル人探検家マゼランが世界一周の航海中、フィリピンのセブ島(マクタン島)に上陸、スペインの領土として宣言。 マゼランはキリスト教への改宗とスペイン王への服従を求めるが拒否され、マクタン島でラプラプ率いる原住民に殺される。
  • 1542年
    ヴィラロボス探検隊、時の皇太子(フェリペ2世)にちなんでフィリピン諸島と命名
  • 1565年 
    レガスピ率いる遠征隊がセブに来航、植民地活動を開始。
  • 1571年 
    レガスピ、マニラを占領。スペインが本格的な支配を開始。
  • 1800年代後半
    スペイン統治時代末期、スペイン植民地時代にヨーロッパに留学していたホセ・リサールを中心とした若き指導者たちの影響の下、フィリピン独立運動始まる。
    【アメリカによる支配】
  • 1898年 
    スペインが米国との米西戦争で敗れ、最初の大統領エミリオ・アギナルドが独立を宣言。第一共和国が誕生。 しかし、アメリカがフィリピンの統治権を奪ったため、米比戦争に発展。この戦争でアギナルド大統領は捕らえられ、第一共和国は崩壊。
    ここから約40年間、アメリカによる植民地時代が続く。
    この頃から小学校から大学まで、授業が英語で行われるようになる。
  • 1941年 
    太平洋戦争で、日本が真珠湾を攻撃。マッカーサー、マニラを非武装都市と宣言
    【日本軍の占領】
  • 1942年 
    日本軍がフィリピンを制圧
  • 1944年  
    マッカーサーの率いるアメリカ軍、レイテ上陸を開始。アメリカ軍、リンガエン湾に上陸
  • 1942年 
    日本軍がフィリピンを制圧
  • 1945年 
    日本軍が無条件降伏
    【フィリピンの独立】
  • 1946年
    フィリピン共和国が独立
  • 1974年
    教育省令25号によってフィリピン語と英語による二言語併用教育政策を発表。

アメリカ支配時代の英語導入、独立後の政策が英語教育を進めた

スペイン→アメリカ→日本 と、各国に支配されていた暗い過去の歴史があり、それぞれの国からの強制的な言語政策に苦しめられたそうです。

そうした中で、アメリカの支配時代、英語による教育が行われ、英語熱が広く市民に広まったこと。また、独立後の1974年、フィリピン政府は、「フィリピン語と英語による二言語併用教育政策」というものを発表。フィリピンでは英語が広く使われるようになりました。

英語力を高めるフィリピンの英語環境

前述のように、フィリピンでは、歴史が英語の普及と深く関わっていますが、その結果、現在では、英語が話せるようになる環境が整っています。
ただし、貧困層(※)は英語を話せない人が多く、そのことが経済格差にもつながっています。
※2018年フィリピンの貧困率16.6%(フィリピン統計庁)

幼少時代からの英語教育

人口約1億人からなるフィリピンでは、マレー系の人々が大多数を占めるものの、中国系やスペイン系等その他民族も多く、使用言語についてはフィリピノ語(国語)と英語が公用語となっています。

また無数の島からなり、170もの言語が話されています。違う言葉を持つフィリピン人同士はたいてい英語で話します。
そうした中、多言語国家としての教育制度はとても重要な課題となっています。

英語教育には幼児段階から力を入れており、現在では私立幼稚園・学校での生活において、すべて英語での会話が義務付けられています。フィリピンの義務教育は、幼稚園1年、小学校6年、中学校4年、高校2年となっています。

フィリピンの子どもたちの多くは、幼稚園の頃からフィリピンの国語(フィリピン語)、現地語(セブの場合、セブアノ語)、英語の3つの言語を学びます。
幼少時代から英語を学んでいるのです。

英語に囲まれた環境

スナック菓子の袋、電化製品など様々な商品、店の看板などほとんどのものが英語で標記されています。
テレビやラジオでは、英語チャンネルが存在し、数十種類の新聞が英語で発行されています。
映画を見に行けば、字幕無しでハリウッド映画を楽しんでいます。

タクシーの運転手からレストランのウェイトレス、商店のスタッフ等でも、簡単なやりとりであれば英語が通じ、時々驚くほど上手に英語話す人に出会います。
特に教師や看護士、医者や弁護士、高級ホテルの受付の人等は流暢な英語を話す人が多いです。

まとめ

フィリピンが英語に強いということは、その歴史や現在の英語環境を見てみると納得できます。
そして、純粋はネイティブではないからこそ、語学学校等で英語を教えることが上手で、英語講師としての質が高く評価されています。


※参考 ナビマニラ(フィリピンの歴史) フィリピン政府観光省  ウィキペディア「フィリピンの歴史」